負けてほめられた話
おやじにほめられたことはないね。そういえばマ−ジャンを始めた頃、こんな会話をしたことがあった。
「おまえ、この頃博打やっているんだろう」
「うん、まあ−」
「強いのか」
「弱い。いつも負けて取られてる」
「それなら、やってもいい」
どうしてだって聞くと、
「あんまり強いと付き合いの範囲が狭くなる。弱いぶんにはみんなつきあってくれるけど、あんまり勝ってばかりいると、あいつはずるいとか冷たいとか、必ず言う人がでてくる。弱ければ、大きな間違いはしない」
だからぼくはマ−ジャンやって負けても、親の遺言だからって、いまだに弱い。勝って兜の緒を締めないんだよね。勝って兜の緒をゆるめちゃうんだよね。